【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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148: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/07/14(日) 00:56:59.38 ID:TmI5fe2I0

「自分だけの、居場所……」
「そ。人は誰だって自分が主人公だし、挑戦に年は関係ない。でしょ?」

 川島さんは、茶目っ気たっぷりにウインクをしてみせた。

「あとはうちのプロデューサー君が熱くてねぇ。彼が大阪出張の時に出会ったんだけど、是非とも新しい挑戦をしてみませんか! って。
 それで私、こらもう応えなあかん! ってね。あっ関西弁出ちゃった」

 それでも、やはり気になる。
 聞けば聞くほど疑問は膨らむ。気付けば俺は無遠慮に尋ねていた。

「あの……失礼かと存じますが、不安はありませんでしたか?」
「ん?」
「既に生活基盤はできていたわけでしょう。それもかなり安定した仕事だ。一度それを全部捨てて、東京で一からやり直すことは……。
 芸能……特にアイドル業は水物です。縁起でもないことを言うようですが、『もしも』を考えたことは……?」

 ビンタの一発や二発は喰らうつもりでいた。
 いくらなんでも絶賛売り出し中のアイドル相手に、口が裂けても言っていいことではない。
 川島さんはしかし、怒る風でも、まして悩む風でもなく、あっけらかんと答える。




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