235:>>219の続きからです ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 23:52:05.51 ID:E/BVepxA0
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あのオーディションまでの日々から何か月かが経ち、季節も移ろいでいた。
年は明け、1月も後半に差し掛かった頃で、劇場のまわりには乾いた寒風がぴゅうと音を立てて吹いていた。
このみは、着替えたばかりの衣装を揺らしながら、劇場の廊下を一人歩いていた。
見上げるほど大きな灰色の扉の前で立ち止まり、このみはそこで深呼吸をした。
厚く重い扉だったが、このみが耳を澄ますと、その奥からは心を刺激する心地の良い音色たちが確かに聞こえてきた。
このみは、どきどきと胸の奥が逸るのを感じながら、ゆっくりと扉を開けた。
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