169: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/04/10(金) 01:15:12.43 ID:VqwG9xH+0
胸に手を当てながら、このみは自分の中から出てきた気持ちをそのまま言葉にした。
それが自分の中でこんなにも育っていたなんてと、このみ自身も驚いていた。
このみは自身のグラスに目を移して、そっと左手で触れた。
思いを綴るたびにこのみの胸の中にまた言葉が浮き上がっていく。
胸がいっぱいになって、それでも溢れだす気持ちがそのまま言葉になって、このみ自身にも止まらなかった。
「プロデューサーに見つけてもらって、気が付けばアイドルになってて……。まさか、自分がアイドルになるだなんて、考えたこともなかったわ。」
左手の中のグラスに目を向けたまま、このみは思い出すようにして言った。
グラスの表面の結露の冷たさを指先で感じて、親指で拭った。
そして、このみはそっとグラスを置いてから、彼へと視線を向けた。
彼がそうしたように、ただまっすぐに瞳を見つめて。
「でも、アイドルになって良かったって思う。ずっとこのままみんなとアイドルしていたい、って思ってる。」
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