エミリーが忘れた日
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71: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:01:24.91 ID:9pdDfgPfo
 


「──思ったより早く届いたのね」
「《せっかく送ったのに、こんなに早く帰ってくるなんてね……》」

私たちに一日遅れてやってきた大荷物を前に、お母様が寂しそうに言った。

「《エミリーにも手伝ってもらいましょう。片付けなくちゃ》」

二階へ足を向けるお母様しばらく眺め、また視線を戻した。765プロの事務所でも見た巨大なダンボールに、送りつけ伝票が乱雑に貼られている。
三人でエミリーの自室へ運ぼうとしたが上手くいかず、結局玄関で箱を開けて中身を順番に持っていくことになった。
古びた数々のノートに混じって、日本で使った比較的新しいそれも何冊か入っている。
一冊ずつ取り出していくうちに、私は箱の隅に隠れるように突っ込まれていた絵筒を見つけ、おもむろに取り出してみた。

「……おかえり」

何度見ても変わらない、無邪気な子供の絵。

「《その絵……》」

しばらく動かないでいると、エミリーが横から覗き込んでまじまじとその絵を見てくる。

「《プロデューサーも言ってたけど、あんたが小さい頃に描いた絵よ》」
「《そうなんでしょうね……》」

エミリーは表情を曇らせた。

「《やっぱり思い出せないかしら》」
「《右にいるのは私、もう一人は……》」

エミリーはしばらく考え込んで、やはり首を傾げた。

「《すみません、やっぱり分かりません》」
「《……そう》」

今のこの子にとっては、何の思い入れもない小さい頃の絵など、もはや気味の悪い品にすら映っているのかもしれない。

「《あんたにとっては大事なものなのよ。 ちゃんと取っておいて》」

そっと渡すと、エミリーは渋々といったように、他の本たちと一緒にそれを持って階段を上がっていった。


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