エミリーが忘れた日
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70: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:59:53.13 ID:9pdDfgPfo
 
「《何日か一緒に遊んだりしたんですけど、
 エミリーったらいつの間にかすっかりその子に懐いちゃって……帰国するときにお別れを言うのが大変でした》」
「《初めて会ったのは、エミリーのお父様が仕事のお付き合いで日本人の客を招いてパーティーを催されたときですよね?》」
「《そういえばそうだったような……よくご存じですね?》」
「《……もし》」

確かめておきたかった肝心な部分を、私は慎重に尋ねた。

「《エミリーがいつか何かの拍子に今までのことをきちんと思い出して、
 また日本でアイドルをやりたいと言ってくれたら……お母様もお父様も、反対はされませんか?》」
「《それはもちろん……それがあの子の意思なら、尊重します。 日本に行かせますよ》」

それを聞いて一安心した。
ただ、おかげで何かが進展するわけでもなく──結局は、エミリーが思い出を取り戻せなければご両親の気持ちすら無駄になってしまう。
この家に居られる時間は長くない。それまでにエミリーときちんと話をつけてやらなくちゃ。

紅茶のおかわりを勧められたのでお言葉に甘えることにした。お母様がキッチンへ向かい私から目を離したことを確認し、ふぅとため息をつく。

「せっかくエミリーがそこまで想い続けてくれていたってのに知らんぷりしてただなんて、薄情な女よね」

他の誰にも聞こえないようにそっと呟いた。


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