エミリーが忘れた日
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66: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:55:23.14 ID:9pdDfgPfo
 
「……伊織」
「何?」

俺はここ最近の伊織に対してずっと抱き続けていた疑問を、思い切って投げかけてみた。

「──どうしてお前はエミリーのためにそこまでするんだ?」
「…………」

伊織はぐっと押し込まれるように黙った。

「エミリーがああなってからほとんどずっと横についてくれてるし、今まで沢山手助けしてくれた。
 それについてはもちろん感謝してる。 けどさすがに、ロンドンにまで行ってもらうわけにはいかない」
「──何か文句でもあるの? じゃああの子をあのまま放っておけってこと?」
「そうじゃない。 そうじゃないけど……」
「確かに仕事に穴をあけるという点では、私はプロ失格ね。 それについては謝る」
「……それも今は別に大した問題じゃない」

伊織はなんだか悩みに悩んだような素振りで、そして観念したようにハァと息を吐き出した。

「──あるわ。 理由なら」
「何だ?」
「……それは言えない」
「何だよそれ……」
「無茶苦茶言ってるのは分かってる。 分かってるわよ……けど……」

伊織が何かものを頼むときに、ここまで言いづらそうにしていた場面を俺は初めて見た気がした。

「行かせて。 ……お願いします」

俺に頭を下げる。


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