エミリーが忘れた日
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61: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:49:40.89 ID:9pdDfgPfo
 
ビル前の路地に強引に車を停め、そのまま二人して二階の事務所玄関へと駆け上がり、飛び込むようにドアを開けた。

「エミリー! エミリー!! ちょっと待って!!」

しばらくの沈黙があったのち、無人かと思われた事務所の奥──応接スペースの間仕切りの隙間から、
自宅にいたはずのエミリーがおそるおそるこちらへ顔を覗かせた。

「エミリー! よかった、まだいた──」

続けて、エミリーと同じく金髪の、背の高い男性が立ち上がってこちらを見た。
──エミリーの父親だ。そして、高木社長。

「あぁ、君たち来てくれたか……! スチュアート君なんだが、その……」
「《ごめんなさい》」

高木社長の声を遮るように、エミリーが口を開いた。

「《社長と、お話しました》」
「待って……ダメ……」

エミリーはずっと俯いたまま、覇気も起伏もない、感情を読み取れない声で、ブツブツと、言葉を切りながら告げた。





「《私──帰ることに、なりました》」


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