62: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:50:32.17 ID:9pdDfgPfo
*
「エミリーのお父様、何て?」
「……だめだ。 いくら説得しようとしても取り合ってくれなかった」
俺は日がな一日頭を抱え、仕事にも手付かずのままでいた。
エミリーの父親の決意は思った以上に固い。もう少し待ってほしいと何度頭を下げても無駄に終わった。
すでにロンドン行きの飛行機の手配も済ませているらしい。
「最初に約束したんでしょ、二週間様子を見るって。 まだ二日あるはずじゃない……」
「エミリー本人が、イギリスに帰りたいって言い出したからだ」
「そうなの?」
「本人に残る意思があったとして、二週間待つって話だった。 今となっちゃ意味のない期限だ」
届いたときと同じように、再びカッチリとテープ止めをされた巨大な段ボール箱を眺め、またため息を漏らす。
あの大荷物も今日中にご実家へ送り返されることになった。
「……やっぱりもう、嫌になっちゃったのかな、こっちにいるの」
次の手を考えたいが、今は何も思いつかない。手詰まりだ。
「どこまで話したの? エミリーの状況」
「分かってることは全部話したよ……先生とのことも」
伊織の質問には自信なさげに答えるしかなかった。
推測の域を出ないものの──一応、今の時点で考えられる事の顛末をエミリーの父親には全て伝えたつもりだ。
126Res/148.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20