44: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 22:25:53.44 ID:9pdDfgPfo
だが学習の効果はそこでピタリと止まった。
翌日を境に、そこから何日待てども勉強の成果が一切出なくなってしまった。
次の日も、また次の日も、今まで使えていた難しい言葉の一つも思い出すどころか、
その日にノートに書き込んだことすら、夜には満足に思い出せなくなってしまう。
そのまま俺たちは更に三日間を無駄にした。
ここまでノンストップで続けてきただけに、さすがに疲れが見え始めたのかと最初は思ったがどうもそれだけではないようだ。
エミリー自身の意欲が失せているような気がした。
机に座っていても頻繁に集中が切れ、知識を受け付けてくれない頭を両手で抱えてうなだれる仕草を増やしていく。
苛立ちの様子すら見せるエミリーを伊織が戸惑いながら慰める。
見かねた俺は作業を止めさせ、気分転換に二人で外の空気を吸って来い、と乱暴に言いつけた。
「《……ごめんなさい》」と呟いて、エミリーは伊織に連れられ事務所を後にする。
きつい物言いになってしまったことを一人になってから悔やんでも遅い。
俺も伊織も──そしてエミリー自身も少しずつ、しかし明らかに焦りが思考を支配していた。
上手くいっていたはずなのに。何処で何を間違えた?
まだエミリーの状態が万全とは到底言えないまま、それでもくすんだ希望に縋らなければならない。
心苦しいが、明日からのレッスンは予定通り受けてもらう。
それがきっかけで彼女の思い出せることが増えるのを願うしかない。
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