エミリーが忘れた日
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104: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:42:40.99 ID:9pdDfgPfo
 
「──そうそう」

もう心配はなさそうね、と控え室に戻ろうとした伊織を引き止める。

「この後ちょっとしたサプライズを用意してるから、伊織はこのままここにいてくれ」
「はぁ? 復帰したばかりのエミリーにそんなことするの?」
「エミリーじゃないよ」

どうやらスピーチが終わったようで、長めの拍手が続く。

『──ここで、お呼びしたい方がいらっしゃいます』

エミリーが舞台袖にいる俺たちの方を向いた。

『伊織さま! 伊織さま、どうぞこちらへ!』

伊織の体がピクリと反応した。

「えっ、わ、私?」
「ほら、呼んでるぞ。 行ってやれよ」
「待ってよ、サプライズって私に対してなの!?」
「いいから、ほら行ってこい!」
「ちょっと──」

ポンと背中を押してやると、伊織は渋々ステージの真ん中まで歩いていく。
また大きな拍手と、時折挟まる伊織への声援に笑顔で対応しながら、伊織はエミリーの真横についた。


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