エミリーが忘れた日
1- 20
103: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 23:41:47.91 ID:9pdDfgPfo
 
今のエミリーは、日本語が分からなくなっていたことも、昔の記憶を失っていたことも、何も知らない。
社長とも相談して、その事実は一切彼女に知らせないことにした。

何もなかったことにする──他のアイドルたちに徹底させたのはこのことだ。



「──あの子の中では、自分が一ヶ月近く気を失ってたことになってる」
「それはそれで、ちょっと戸惑っちゃうことだとは思うけどな」

おそらく冷静ではいられなかっただろう。
そんな中、目を覚まして真っ先にまた戻りたいと言ってくれたエミリーの想いをみんなで尊重した結果が、今日のこのステージだ。
大成功に終わってとりあえずは一安心だが、まだまだみんなで支えてやらないといけない。

「当然、私たちや事務所のみんながあの子の為にやってきたことも……本人は知る由もないってことなのよね」
「……不満か?」
「まさか」

伊織はゆっくり力強く否定した。

「エミリーが無事に帰ってきた。 これ以上何を望むって言うの?」
「同感だね」

ステージではエミリーの言葉一つ一つに温かな拍手が送られ、時折彼女を呼ぶ声も聞こえる。
エミリーはその声一つ一つに応えるように手を振っていた。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
126Res/148.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice