8: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/06/03(月) 02:02:57.98 ID:LzMqkbY70
だがな? ちょっと考えてみてくれよ。
まったく参ってしまったことを隠しもしない声音で、俺はイクに言う。助けを乞う。
「あいつハタチだぞ。俺は三十四だ。おっさんにあんまり自信を求められても困る。自意識過剰は若者の特権なんだ。
もし仮に、仮にだぞ? 俺があいつに『好きだ』『愛している』とか言ったとして」
うわ、なに本気になってるんですか?
提督なんてただの肉バイブですよ?
「とか言われたら、俺はもう立ち直れん……」
頭を抱えた。それはまるで恐ろしいことだった。
望んだものの全ては手に入らず、それどころか、多くさえ手に入らないことを、俺はもうとっくに、嫌というほど知ってしまった。悲しき賢者になってしまった。
「ばっかみたい」
そんな俺に対して、イクは大上段から刃を振り下ろす。名匠の切れ味だ。
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