【天華百剣】('A`) 大事なことは全部春画が教えてくれたようです【ブーン系】
1- 20
3: ◆L6OaR8HKlk[sage saga]
2019/05/29(水) 22:58:02.97 ID:Iq0r0Jv20
最初の違和感は出稼ぎにやってきた子供たちの頭数だった
悪い条件で働かせていたワケじゃない。逆に、他よりも待遇は良かったと言える
顔色も良く、飯は三食出て、毎日風呂に入れて貰える。貧しい村からやって来た子ならば、願ったり叶ったりの労働環境だろう
子供は特別好きでも無かったが、寄ってくりゃ声を掛けてやるくらいはしてやった。簡単な英語も教えてやったな
その幼い労働力が、ある日を境に不自然な増減を見せた。経営上層部の羽振りが良くなると共に

工場に関わる誰もが訝しむ事態であったが、誰一人として疑問の声は挙げなかった
恩恵を受けていたからだ。黒い噂が陰にあろうとも、懐が温まれば文句を言う気も失くす
寧ろ、余計な口出しをすれば今の手取りが無くなるという不安にも駆られたのだろう
それに居なくなっているのは関係の無い余所の子供。多少の心配はすれど、危険を冒してまで身元を追う必要も無い
こうして、誰が示し合わせたわけでもなく、工場内の不自然な動きに対して横やりを入れることはご法度となった

俺も正義感に厚い人間じゃなかった。ただ、他の者よりも不自然に対する『興味』があっただけだ
幸いにも技師として優秀だった俺は、経営幹部の一人にえらく気に入られていた。時を跨がずして、『その話』は酒の席で向こうから振ってきた


「貴様も我が社を担う人材の一人。どうだ、新しい『びじねす』を始めて見る気はないか?」


使い慣れていないハイカラな外来語。デカい下っ腹を今にもはち切れそうなベルトで支え
ある意味では様になっている洋装……言うならば今風の悪代官か。そんな恰好の中年に、件の『びじねす』とやらに勧誘されたのだ


「需要に伴い『糖業』を興してな。その工業機械の製造責任者に貴様を任命したい」


分厚いお札束と共に言い渡された願っても無い話に、二つ返事で食い付いた
何も無ければ俺は『整備』から『製造』という次の段階へと進められる
もしも危ない仕事ならば、その時はその時。高跳びでもすりゃいいかとタカを括った


「期待してるぞ。貴様は私の息子も同然だからな」


とてもじゃないが、手前のガキを見るような眼ではなかった


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
44Res/58.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice