【天華百剣】('A`) 大事なことは全部春画が教えてくれたようです【ブーン系】
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◆L6OaR8HKlk
[sage saga]
2019/05/29(水) 23:01:30.48 ID:Iq0r0Jv20
結論から言うと、俺が想像した以上に『真っ黒』だった
甘ったるい匂いの現場では、確かに『砂糖』と呼べる物の生産は行われていた
ただし俺を誘った幹部は『魔法の』と付け加えて。早い話が、摂取すれば気持ち良くなる代物だということだ
従業員は皆、幸福に満ちた表情で仕事をしていた。早朝から深夜まで、不休で働き詰めにも関わらず
生産ラインの一人が突然バタリと倒れても、誰も気にかけぬほどに
見学という名目で訪れた俺は、異様な光景に愕然としながらも駆け寄る余裕はまだあった
齢十代半ばの、見覚えのある女の子だった。製糸工場で何度か言葉を交わしたことがあったのだ
確か、貧しい家庭を支える為に出稼ぎに来ていると言っていた。仕事に不満はないが、両親宛に出した手紙の返事がまだ来ないのが悩みだとも
後からわかったことだが、呼び込まれた子供の殆どは孤児か、ろくでなしのバカ親に高い金を払って買い取った人材だったらしい
売られたこともつゆ知らず、健気に両親を想い続けた彼女の最後は
薬物の工場で、仮初めの極楽浄土に身を浸しながら
地獄のような労働を続けたことによる、過労死であった
俺は正義感に厚い人間じゃない。その子に特別思い入れがあったわけでもないし
悪事に手を染める雇い主の胸倉を掴んで「こんなの間違っている!!」と激昂するほど、熱い人間でもない
土嚢のように運ばれていく彼女を見ながら、冷静に、冷静に
飲み込むように、自分を納得させた。「俺に何が出来る?」と
悪を裁く義務も無ければ、叩きのめす力もない自分自身を守る為に、冷静に、自らを偽りながら
だが相反して、腹の奥から湧き上がった『火』は、俺の思考をじわりじわりと焦がしていった
それが情けない自身に対する怒りなのか、良心の呵責なのかは今もわからない
ただ、これまで上手く運ばれてきた『幸福な人生』を、一瞬で台無しにし得るものというのだけは理解できた
新たな職場は、巨悪に対する破壊工作を仕込む現場に
受け取った賃金は、足りない材料を買い込む資金に
上層部からの信頼を、疑惑の目を避ける隠れ蓑に
夢を追って手に入れた技術を、破滅の為に使って
薬ではなく、自らを焦がす『火』によって得た狂気に身を任せた
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