45:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:34:51.04 ID:VZdRWGZA0
──『碇君、どこ』
46:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:36:28.00 ID:VZdRWGZA0
「やっぱり綾波だ……」
再度聞こえてきた声に、シンジは顔を起こしてもう一度拳を壁に叩き付けた。
「ミサトさんっ!! 綾波ですよ!? 綾波の声が!!」
「碇さん、急いで!」
その場を動こうとしないシンジに向かって、サクラが声色を強める。しかし、それでもシンジはその場を離れようとはしない。
47:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:38:05.03 ID:VZdRWGZA0
「エヴァがなければ僕は用済みってことですか……。もういいよ……綾波!ここだ!!」
48:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:39:15.89 ID:VZdRWGZA0
シンジが大声で叫んだ瞬間、部屋の壁が閃光で吹き飛び、爆発音と煙が二人を包み込んだ。
「キャー!」
突然の出来事にサクラが悲鳴を上げる。ガラガラと瓦礫の崩れる音が降り注ぐ中、外から吹き込む風によって立ち上った煙は直ぐにかき消された。気がつくと、ヴンダーの壁にぽっかりと空いた大きな穴から、巨大な人の形をした手がシンジの目の前に差し出されていた。
「ヱヴァ……0号機……?」
差し出された手のひらの先には、白い機体に大きな一つ目のカメラアイを備えた巨人の姿があった。カメラアイがシンジの姿にフォーカスする。そして、エヴァ0号機から綾波レイの声が発せられた。
49:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:41:03.94 ID:VZdRWGZA0
『碇君、こっちへ』
シンジは、0号機の大きな目を見つめて立ち尽くしていた。その時、背後からミサトの声が響いたことに気付いて、シンジは身を翻して振り向いた。
「駄目よシンジ君!ここにいなさい」
ミサトは、シンジの首に巻かれたチョーカーのコントローラーをかざして、今にも引き金を引かんとする態度を見せていた。
「なんだよミサトさん……さっきまで要らないって言ってたじゃないか!」
50:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:41:56.10 ID:VZdRWGZA0
「やめてください!相手はエヴァですよ!?」
「だからこそよ!ネルフのエヴァは全て殲滅します」
その間も、無数の砲弾が0号機に向かって降り注ぐ。その度に、オレンジの閃光が部屋の中を照らし、ヴンダーを揺らす。
「ネルフ……ここもネルフじゃないですか!」
「私たちは『ヴィレ』。ネルフ壊滅を目的とする組織です」
51:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:44:42.49 ID:VZdRWGZA0
「碇さん!!」
砲撃の揺れに耐えるため、コンテナにしがみついていたサクラが思わず駆け出して行く。
「勝手もいいですけど、エヴァにだけは乗らんでくださいよ!ホンマ勘弁してほしいわ……」
シンジは、その言葉に困惑した表情になる。自分とエヴァになにがあったのか。自分にはその記憶がないからだ。
52:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:49:27.47 ID:VZdRWGZA0
『緊急事態発生! 緊急事態発生! 検体と綾波シリーズが接触!』
「あんのバカ!っとに、退屈させないんだから!! コネメガネ!!」
アスカは廊下を駆けながらマリとの通信を続けていた。
「あいあ〜い。わる〜い魔法使いに連れてかれないようにってね」
すっかり準備を整えていたマリが、威勢の良いかけ声で答える。エヴァ8号機を格納していたハッチが回転すると、ピンクの機体が迫り上がって空の空気に晒された。
53:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:52:31.32 ID:VZdRWGZA0
「的を〜狙えば外さないよぉ〜♪ヘーイ、カモォ〜ン♪」
ハンドガンを構えた姿勢でヴンダーの側部に登場した8号機は、0号機の頭部を捉えて発砲する。マリの放った銃弾は、見事に0号機の側頭部に直撃。マリは、エントリープラグを放出すると、ヴンダーの甲板を駆けて0号機との間合いを一気に詰める。
「よっしゃー!」
8号機の放った弾丸がことごとく0号機に命中する。0号機の頭部は既に吹き飛び、首だけの状態になっていた。マリは、構わず銃弾を浴びせながら0号機との間合いを詰めていく。しかし、0号機は激しい攻撃を意に介さず、背中から羽のようなものを伸ばすと、それをロケットブースターのような型に変形させた。
「やっぱし……『アダムスの器』か!?」
54:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 15:57:52.91 ID:VZdRWGZA0
「……彼を初号機に優先して奪取という事は、トリガーとしての可能性がまだあるという事よ。ミサト、DSSチョーカーを」
ミサトはボタンを押せないまま硬直していた。
「次は……次は、押すわ」
リツコは、そう言って手を下ろしたミサトの後ろ姿を見つめる。
「副長より通達。検体は無事よ。マリにも通信伝えて。追撃不要。無駄玉を撃つなってね。各位、損傷個所の応急処置と偽装作業を再開」
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