ダイヤ「それは押し花の様に」
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6:名無しNIPPER
2019/05/25(土) 23:40:16.55 ID:9lPtmwgdO
延々と続く細い路地を抜けると、右手に海が見えてきた。建物で度々隠されてしまうが、ちらり、と覗かせる水色の煌めきは、間違いなく私たちが過ごした駿河の海だ




「次は、淡島マリンパーク前。次は、淡島マリンパーク前でございます」



感傷に浸っていると不意に、見知った名前がストレートに耳に入ってきた

その瞬間、私の中の何か甘酸っぱいような記憶が、ぱちり、と弾けたような気がしました

頭の中に電流が通ったような、ぱっ、と咲いた花の香りが目の前を通り過ぎたような、何にせよ目の覚める様な感覚に私は襲われました

手元のボタンを指先で押して光らせ、足元の荷物を素早くまとめる

バス停についてみると、私のほかにも数人の人が降りて行った。慌ててボタンを押す必要は、どうやらなかったらしい

握りしめた硬貨と紙の整理券を投入口に流し込む。機会が感知するまでの一秒にも満たない時間が、なぜかもどかしかった。

荷物を握りしめ、バスステップを一段飛ばしで降りて薄暗い車内から、太陽の照り付ける地上へと降り立ちます




東京での就職を決めて以来、故郷の地に降り立つのは、五年振りでした


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