ダイヤ「それは押し花の様に」
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5:名無しNIPPER
2019/05/25(土) 23:39:20.21 ID:9lPtmwgdO
沼津駅から内浦へと続く車道は細い一本道で、車幅のあるバスが反対車線の乗用車とぶつかってしまわないか、後ろに乗っているだけでヒヤヒヤします

この感覚は、子供のころから変わらない。歩くよりも何倍も速いスピードで目の前をすれ違う車たちに、私は原始的な恐れを抱いていました

私が、心の中で人知れず肝を冷やしているのにも関わらず、周りの乗客は澄ました顔で乗っている。何なら、どことなく呆けた、気の抜けた表情だ

免許を取って、自分で運転するようになったら感覚が変わってくるのだろうか

勉学優先だったり、東京では電車がどこにでもあるから車を使う機会がない、なんて言い訳をしながら私はついぞ、大学生の期間に免許を取らなかった

車が運転できないことで別段困ったことはない。偶に鞠莉に会った時、鼻を天狗の様に伸ばして自慢げな顔をされるのが頭にくるくらいで、「車が運転出来たらどこどこに行けたのに」なんて思うことは、今の時代殆ど起きない

「そういえば最近、千歌さんが免許を取ったんでしたっけ」

実家手伝いの彼女は、旅館所有のハイエースを乗り回さなけばならないらしく、最近免許を取得したと報告がありました

親譲りの童顔の彼女が、大きな図体の車を乗り回しているのを想像すると、思わず口角が吊り上がってしまいます

ただ……年下に抜かされるのに、心に引っ掛かりが無い、と言えば嘘になります


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