89:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:45:12.66 ID:YWfCY9A20
「明日はお休みね。学校には私から連絡しておくから」
「うん……」
「ゆっくり休みなさい。早く治さないと、香澄ちゃんたちが心配するわよ」
「…………」それにはなんて返そうか迷ってから、「うん」ともう一度小さく頷く。
「食欲はある?」
「……少し」
「そう、よかった。それじゃあお母さん、お粥作ってくるわね。ちゃんと大人しく寝てるのよ。飲み物は枕元にあるから、喉が渇いたら飲みなさい」
そう言って立ち上がる。それに何かを言わなきゃいけない気がして、沙綾は口を開きいて、「あ……」と乾いた喉から少し掠れた声を発する。
「うん? どうしたの?」
優しい目が沙綾を見つめる。それに胸が詰まって、色々な言葉がぐるぐると胸中で巡り巡る。
「……ごめん」
だけど口から出たのは、そんな謝罪だけだった。
「いいのよ、気にしないで」
「……でも、ごめん」
「もう、心配性っていうかなんていうか……本当に誰に似たのかしらね」
少し呆れたような笑みを浮かべてから、くるりと背を向ける。そして遠ざかる母親の姿。
熱に浮かされた頭では地に足のついた思考が出来ないから、自分が今何を考えて、何を思っているのかがきちんと把握できない。だけど、どうしてもこれだけは言わなくちゃいけない気がしたから、もう一度だけ沙綾は「ごめんなさい」と小さく呟いた。
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