88:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:44:35.52 ID:YWfCY9A20
「そう、よかった。もう、倒れるまで黙ってるなんて……誰に似たのかしらね」
「……たぶん、おかあさん」
「あら、そうかしら?」
とぼけたような返事をして、それからくすくすと笑う。それがただ心地いい。
「お店の方は大丈夫だからね。お父さんがいるし、純と紗南も手伝ってるから」
「…………」
その言葉にまた申し訳なさとか後ろめたさとかが生まれて、そういうものが心の水面に波紋を広げる。
「沙綾が気に病むことじゃないのよ」
だけど、穏やかな声がそれをすぐに鎮めた。
「最近、ちょっとはわがままを言ってくれるようになったけど……やっぱり無理をしちゃうのね」
「…………」
「沙綾はまだ子供なんだから、もっと素直になっていいのに」
「…………」
「いつもありがとね」
「……ううん」
緩く首を振る。その拍子に頭の内側がズキズキと痛んで、ようやく一番最初に言われた言葉の内容を理解した。
そうだ。頭が痛くて、身体が熱くて、どうしようもなく気分が悪くて……どうやら私は熱を出して倒れたみたいだ。朦朧とした意識の中、お母さんに肩を貸してもらって、フラフラとこの部屋まで歩いたような記憶があった。
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