85:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:41:19.49 ID:YWfCY9A20
「おねがいしま〜す」
「はい、承ります」
畏まった言葉を聞いて、少女は少しだけ首を傾げた。だけどすぐにポケットからお財布を取り出し、そして沙綾が合計の価格を言うより早く、お会計ぴったりの小銭をキャッシュトレイに入れた。
「えぇと、丁度で」この子は相当の常連さんなんだな、と思いながら、沙綾はパンを袋詰めして彼女に手渡した。
「ん、どもども。それじゃあ沙綾、お大事に〜」
「あ、うん……ありがと」
「んー。そんじゃね〜」
間延びした声を残して、少女はやまぶきベーカリーを出て行く。その背中を見送って、沙綾は小さくため息をこぼした。また気を遣われたんだな、と思うと、名も知らない少女に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
……あの子が本当に心配している山吹沙綾は私じゃない。ごめんなさい。余計な心配をさせてごめんなさい。
それと一緒に、自身の内からふつふつと後ろ暗い感情が沸き起こるも自覚した。
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