54:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:13:59.69 ID:YWfCY9A20
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沙綾がその文字に気付いたのは、入れ替わってから一週間ほど過ぎたある日だった。
相変わらずシンと冷えた空気が漂う定時制の教室。いつもの通りだな、と言えるくらいに慣れ始めてきたその空間の中で、沙綾はいつものように自分の席に着いた。
「……うん?」
すると、机の真ん中に少し大きくメッセージが書かれているのが目に付く。
――ねえ、聞こえる?
カスミちゃんからのメッセージかな、と思いながら沙綾がそれをまじまじ見つめるけど、可愛さの中に芯の強さを感じる文字は、どうにも彼女の文字には見えなかった。
誰かの悪戯かな。もしかしたらリミちゃんやアリサちゃんが書いたのかもしれない。
そう思ったから、沙綾は何も深く考えることなく、その隣に返事を書いた。
うん、聞こえるよ。
そこで先生が教室に入ってきたから、沙綾はそれきりその文字は気にせず、机の上に教科書を広げた。
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