49:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:10:13.76 ID:YWfCY9A20
確か、香澄ちゃんと有咲ちゃんとりみちゃんは同じクラスで、加えて席も三人並んでいたと聞いていた。たえちゃんだけは違うクラスで、毎朝『今生さらば』みたいな別れの寸劇をするのをやめてくれ、と有咲ちゃんが一昨日に言っていたのも覚えている。
その有咲ちゃんがこっちの世界だと違うクラスで逆の立場になっていることに、なんだか数奇な巡り合わせみたいなものを感じてしまう。もしも生まれ変われたら、なんてタワゴトを話し合った時に言っていたことが実現しているのが何とも皮肉というか、なんというか。
「じゃあ、その、私が案内するね……?」
そんな思考の海に埋没していた意識が遠慮がちな小さな声で現実に戻ってくる。
「うん。お願いします、リミちゃん」
「は、はい、頑張りますっ……」
「……なんでそんなに緊張してるの?」
「え、えっと、その……」
沙綾が尋ねると、リミは視線を逸らし、もじもじとしながら黙ってしまう。……昨日から薄々思っていたけど、やっぱり人見知りなんだろうか。香澄ちゃんみたいでかわいい。
「そんな深く考えないで、沙綾に接する感じでいいだろ。ほら、私も隣のクラスだし、そこまでは一緒だから」
「う、うん……ごめんね、サアヤちゃん」
「謝られることなんてされてないよ。こっちこそ面倒ごとに付き合わせてごめんね?」
「ううん……」
チラリと上目遣いを送ってきて、またすぐに視線をそらしてしまう。そんなリミに庇護欲じみたものをくすぐられつつ、沙綾たちは教室を目指すのだった。
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