47:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:08:33.64 ID:YWfCY9A20
翌朝。
いつもよりもやや遅い時間に起床した沙綾は身支度を整え、迎えに来てくれると言っていたアリサを待ってから家を出た。
慣れないワンピースの制服に、あまり自分が買わない色のリボンで纏めたポニーテール。それがまだ東の空の低い場所にある太陽に照らされて、背の高い影を作る。
午前八時前の見慣れた街にどこか似ている街並みは、沙綾にとって新鮮な印象を与えてきた。
まるで上京したての子供のように辺りをキョロキョロうかがっていたせいか、たびたび隣を歩いて学校まで案内してくれるアリサに「転ぶなよー」とやる気のなさそうな注意をされつつ、この世界の山吹沙綾が通うという花咲川女子学園までたどり着く。
「……と、まぁ大体花咲川に沿って歩いて行けばこうやって学校に着くから」
「うん、分かった。案内してくれてありがとね、アリサちゃん」
「ん……」
と、お礼を言われたアリサがどことなく居心地悪そうに目を逸らす。
「えっと、どうかした?」
「あーいや……なんかサアヤから『ちゃん』付けで呼ばれると変な気分って言うか……」
「……照れくさい?」
「だっ、誰もそうとは言ってねーだろっ」
「そっかー。ごめんね、アリサちゃん」
そんな様子に沙綾は微笑ましい気持ちになって、思わず頬が緩む。
「あーもう、だから……」
何か反論しかけたアリサだったが、小さく首を振ってそれを諦めたようだった。
189Res/213.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20