175:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:50:59.86 ID:YWfCY9A20
エピローグ:サアヤ
『――もうひとりの私へ。
あなたがこれを読んでいるということは、もう私はこの世界にいないのでしょう……なんて。ちょっとこれ、一回書いてみたかったんだよね。
えっとね、なんだか予感がするっていうか……もう今日が終わればあなたとメッセージを交わすことも出来なくなるような気がしてさ。だから、最後に手紙を残そうと思うんだ。
まず最初に……きっとあなたは、私に開口一番で謝ると思う。メッセージのことを香澄に打ち明けられなかったこととか、そういうことを。
気にするなって言われても難しいかもだけど、でもさ、そんなの気にしないで。私もやっぱりあなたと同じ山吹沙綾だからさ、気持ちは本当に、痛いほど分かるよ。
またメッセージのやり取りが出来るようになったし、一緒に星空を見上げてさ、『あ、きっと元に戻れるな』っていう予感を感じられたんだから。
それにね、あなたの父さんが何度も言ってたことがあるんだ。曰く、『お前は花の高校生なんだから、もっと自由に遊んで来い』だって。この短い期間でもう耳にタコが出来るくらい聞いたよ。きっと、それだけあなたは自分のことを後回しにして、他のことを優先させてたんだと思う。
だからさ、謝ることなんてないよ。あなたと私は同じ山吹沙綾なんだから、遠慮も気遣いもいらないよ。結果オーライっていうのかな。まぁほら、終わりよければ全てよしってことでさ、そのことはもうおしまいにしよ。
あとね、学校の授業内容の進み具合に関しては、一応私なりにまとめておいたよ。分かりづらかったらごめんね。
それから弟くんたちなんだけど、来週からお遊戯会の練習が始まるんだって。だからいつもよりも早めに起きて幼稚園に行きたいって言ってたよ。……まぁ、キチンと起きるかどうかは分かんないけど。正直な話、あの子たちを朝起こすのが一番大変だった気がするよ。
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