174:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:49:56.41 ID:YWfCY9A20
手紙を読み終わって、沙綾は小さく息を吐き出した。それから思うのは、ああ、やっぱり私たちは似た者同士だったな、ということ。やることなすことがこうも被るなんて……と思うとちょっとおかしくて、少しだけ笑った。
右の方から視線を感じて、そちらへ目を移す。すると、二つ隣の席のたえが、沙綾を見て不思議そうに首を傾げていた。
その姿に向けて『なんでもないよ』という意思を込めて小さく手を振る。たえはますます首を傾げる角度を深めてから、ブンブンブン、と小さくも勢いよく手を振り返してきた。
ああ、これ絶対伝わってないやつだな……なんて思いながら、沙綾はもう一度小さく微笑む。
それから、いつもよりも強く懐かしさを感じる、窓の外の風景を眺める。
晩秋と初冬の狭間の青空は、天高く晴れ渡っていた。
もうすぐ十一月も終わって、今年もすぐに終わるだろう。そして年が明けて、冬が過ぎれば桜の季節で、私たちももう二年生だ。
その先には何が待ち受けているんだろうか。
きっと笑い合っているだろうけど、もしかしたらいつかみたいにポピパのみんながすれ違ったり、今回みたいにとても現実とは思えないことが起こるかもしれない。
……でも、きっと何があっても大丈夫だ。
瞳を閉じれば、もうひとりの私と言葉を交わし合った、あの夢の風景がすぐに浮かぶ。
どんなに雨が強くたって、どんなに風が強くたって、いつか空は晴れ渡る。
そして、終わらない音楽(キズナ)を奏で続ける限り、私たちの行く先には大きな虹がかかってるんだから。
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