164:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:41:21.31 ID:YWfCY9A20
もしかしてずっと夢を見ていたんじゃないか、なんて不安になったから、沙綾はスマートフォンのディスプレイを覗き込む。そこに表示された日付は十一月十四日の水曜日。
入れ替わった自覚があったのが九月の終わりだし、星を見ようと約束したのは十一月十三日だった。
「……夢じゃない、ね」
そう呟くと、今日までのことが一気に確かな輪郭を持つ。ジョーシキでは考えられないおかしな現実も、同じような世界で過ごしていたポピパのみんなも、入れ替わってしまったもうひとりの自分と話したことも、全部本物だ。
沙綾はひとつ息を吐いた。日付に続けて目に入れたデジタル時計は朝の六時ちょっと過ぎを指している。この時間からなら、学校へ行く準備も、ひと月半振りに顔を合わせる家族やら友達やらと顔を合わせる準備も余裕を持って出来る。
(……気を遣ってくれたんだろうな)
沙綾が予感を抱いていたように、もうひとりの沙綾も同じものを感じ取っていたのだろう。きっと昨日の夜が最後になるから、色々と整理する時間を作れるように、いつもよりもずっと早い時間に目覚ましが鳴ったんだ。
「ありがと……沙綾」
もうひとりの自分に小さくお礼を言ってから、沙綾はベッドを降り立った。
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