133:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:16:18.17 ID:YWfCY9A20
屋上で星空を眺め終わり、沙綾は家路を歩く。商店街にさしかかる前に、みんなとは手を振り、改めて「じゃあね」と伝えた。今はひとりの道だ。
きょろきょろと街並みを眺め、時おり上空の星たちを見つめ、夜の道を歩いて商店街に入る。もうすっかり歩き慣れた家までの順路に、少しだけノスタルジックな気持ちになった。
ヤマブキパンにたどり着くと、裏口から家の中へ入り、鍵を閉める。三つ子の弟たちはもう眠っているし、厨房の方から明かりが漏れてきているから、父も家の中にいるだろう。
「おう、沙綾。おかえり」
厨房に足を踏み入れると、パンの生地をこねていた父が顔を上げて、沙綾に明るい声をかける。
「うん、ただいま」
沙綾は応えてから、傍らに置かれたスピーカーに目を向けた。
そこから流れていたのは“走り始めたばかりのキミに”。いつかにもうひとりの沙綾から聞いたけれど、ヤマブキパンではパンに音楽を聞かせて作るのが流儀というか、正しい作り方だという。
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