110:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 12:00:42.28 ID:YWfCY9A20
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時計の針はいつもよりも三十分早い時間を指していて、花咲川女子学園の最寄り駅にも人が少なかった。見慣れた街並みもどこかシンとしている。
香澄はその中を歩いて、やまぶきベーカリーを目指していた。
歩きながら、頭の中には昨日のメッセージのやり取りが浮かぶ。
『さーや、風邪はもう大丈夫? もし明日は来れるなら、一緒に学校行かない??』
放課後に送ったメッセージ。なかなか既読がつかなくて、まだ調子が悪くて眠ってるのかな、と思いながら返事を待っていた。
『うん、大丈夫。明日は行けるから、いいよ』
そしてそんな返信がやってきたのは、夕ご飯を食べ終わってお風呂から上がった時だった。
淡々としたメッセージではあったけれど、それでも自分のお願いを聞き入れてくれたことにホッと胸を撫でおろし、メッセージを返す。
『ありがと! それじゃ、明日の七時半くらいにさーやを迎えに行くね!』
それには『了解』という意思を示す猫のスタンプが返ってきて、やっぱりどこか淡白なやり取りだと香澄は思っていた。
このやり取りの中で、サアヤは何を思って何を感じているんだろう……そう考え出すと、香澄の胸は少しだけチクリと痛んで重たくなる。
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