108:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:59:30.72 ID:YWfCY9A20
書きたいこと、伝えたいこと。それが決まると、香澄はどんどん歌詞を編んでいく。
その内容は、沙綾がサアヤと入れ替わる前日、有咲の蔵で他愛のない“たられば”の話をした時にちょこっと歌った歌と通じるものがあった。だから、もともと大まかに出来ていたメロディーや歌詞に、今の気持ちを詰め込んでいった。
あの時は「あふれる意思と勇気の歌! 始まりの歌! 青春の歌でもあって、わたしもこうなりたかったって歌!」とみんなに豪語した記憶がある。それと大きく変わりはない。
ただ一言付け加えるなら、これは泣き虫の歌。泣き虫なわたしのテーマ。
授業中も、お昼休みも、放課後も、有咲の蔵でも、自分の部屋でも……香澄はペンを手に、真っ白なルーズリーフの上に詩を編み出していく。
「……出来た……!」
そして、自分の部屋の壁掛け時計が夜の0時を指すころ。真っ白だった紙上には、香澄のこれまでと、香澄たちのこれからを指し示す言葉が躍っていた。
その上にコードをつけて、仮組のメロディーに言葉を乗せる。淀みなく、詩が旋律を伴って、頭の中を流れていった。
……うん。この歌を沙綾ちゃんに、みんなに届けたい。
香澄は強くそう想って、今すぐみんなにこの歌を伝えようかと思ったけれど、時間も時間だったからベッドに潜り込んだ。
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