11:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:09:34.21 ID:ERzHuNUU0
「企画内容としては『アイドルが恋を語る』というアイドル雑誌のコラムがあるんだ。それを智代子に書いてくれないか、というのが出版社から来たんだよ」
「雑誌のコラムを私が書くんですか?」
「うん、そうなんだけどな。アイドルが恋を語るっていうのもなぁ……と思ってね。あとさ」
12:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:10:06.68 ID:ERzHuNUU0
私は普通という自覚はある。けど、それをお仕事関係の人たちに言われるのは……やっぱり深く刺さっちゃうなぁ。
「んで、どうする? 受けなくてもいい。君の判断に任せたい」
どうしようかな。でもプロデューサーさんがせっかく見つけてくれたお仕事だから……。
13:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:10:44.85 ID:ERzHuNUU0
「一応さ、聞いてみていい?」
「はい! 私は確かに普通だと思ってます。けど私のことを認知してくれて、親近感を覚えてくれて。それの期待に応えたいなって思ったんです」
私がこの企画を聞いて思ったことをスラスラと述べると、納得したようにプロデューサーさんは頷いた。
14:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:11:31.29 ID:ERzHuNUU0
私、恋なんて分からないよ。
自分の勢いよく飛び出した言葉と裏腹に、少しだけ自信がなくなっていくのが分かった。
15:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:13:16.61 ID:ERzHuNUU0
◆◆◆
「あ〜〜もぉ〜どうしよ〜〜!」
したことのないことは、書けないなぁ。
16:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:13:53.19 ID:ERzHuNUU0
その疑問が何なのかも分からない。
天井を仰いだ。頭がすっきりさせたくても、できなかった。
「プロデューサーさんはどんな恋をしてきたんだろう」
17:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:14:30.04 ID:ERzHuNUU0
『恋』は、私だけには解決できない課題だと思った。だから明日はユニットのみんなに聞いてみよう。
うん、それがいい。私だけじゃ分からないもん。私だけでコラムを書いてくれなんて言われてないもん。
あっ、そうだ。
18:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:15:16.38 ID:ERzHuNUU0
◆◆◆
「夏葉ちゃん!」
「あら智代子、おはよう。朝から元気ね」
19:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:15:47.60 ID:ERzHuNUU0
まあ分かってたこと。哲学的で難しい問いかけだもんね。
「まさかあなた……好きな人でもできたの!?」
「ち、違うよっ!」
20:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:16:25.47 ID:ERzHuNUU0
「へぇ意外ね」
「意外?」
「そう、意外だわって思ったの。智代子がそういうの積極的にやるなんて」
21:名無しNIPPER
2019/05/24(金) 22:16:55.55 ID:ERzHuNUU0
「この経験がいつか身を結ぶかもしれないわね。これから私たちは有名になるもの」
夏葉ちゃんの宇宙の深淵のように輝く瞳に吸い込まれるぐらい、彼女に凝視されている。
「私たちはアイドルとして恋の歌を歌うかもしれない、私たちが女優として恋する少女の役をするかもしれない。その時、あなたはもう『恋』というものを知っている。あなたはそれを歌い、演じるのに有利になるのよ」
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