芽衣子「忘れものを取りに行こう」
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20: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:02:23.93 ID:ggin5fGOo

 私がリクエストした雑誌が図書室に置かれることはなかった(なんとなくわかってたことだけど)。じゃあ本もまともに読まない私がなんでここに? って自分でもおもう。友達にも担任にも同じ質問をされたけど、毎回答えは「さぁ?」で、そして返ってくるのは「芽衣子(担任からは並木)らしいね」って、こっちも頭の上にハテナを飛ばすことになる。

「ひどくない? それが私らしさって、もうひどいの二乗だよ。友達に言われるならまだいいけど、それが教師の言うことかーってさぁ」

以下略 AAS



21: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:04:14.74 ID:ggin5fGOo

 もう一度背伸びをしてからしおりを挟んだページを開く。本を読むということが習慣付いてない私にとって短編集っていうのはすごく都合良かった。彼女が勧めてくれるのは所謂古典って呼ばれるような作品が多かった。私でも作者か作品の名前のどちらかを知ってるような。古典って言われたらなんだか身構えちゃうけど、実際読んでみるとスラスラいけちゃうし、なにより一編自体がそんなに長くないから「ここまで読もう」がやりやすかった。たまーに見慣れない言葉につまずくことはあったけどささいなことだった。それに、この読書という行為が私の日常の中に当たり前に入ってるものじゃないっていうのがなんだかドキドキした。知らない場所に行くときの気持ちに似てた。それも続いている理由だとおもう。



22: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:04:51.60 ID:ggin5fGOo

「そ、それ、どう?」

「本?」

以下略 AAS



23: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:06:32.00 ID:ggin5fGOo

 さて。

「なに読んでるの?」私がそう聞くとなにかをカウンターの下に隠すような動きをして「あ、えっと、さ、参考書」って、明らかに怪しい。隠されると見たくなるのが人のサガ。そっかぁ、って興味ないですよーなんて言いながらじいっと見る。すっかり元に戻った顔色がまたトマトみたいに赤くなってきた。しばらくして机の下からおそるおそると出てきて真っ赤な顔を隠したのは私がいつも読んでいる旅行雑誌だった。

以下略 AAS



24: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:07:00.54 ID:ggin5fGOo

「面白いよね、それ」

「うん」雑誌がちょっとだけ下がって目が見えたけど、視線は外れてた。

以下略 AAS



25: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:08:49.75 ID:ggin5fGOo

 目が合った、ばっちり。

「今は無理だけど」

以下略 AAS



26: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:09:25.39 ID:ggin5fGOo


「パスポートって、どうやって作るんだろう……」


以下略 AAS



27: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:10:12.75 ID:ggin5fGOo


 * * * * *


以下略 AAS



28: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:10:52.09 ID:ggin5fGOo

「聞いていいのかわからないけど」

「そう言うってことは聞きたいんでしょ?」

以下略 AAS



29: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:12:02.14 ID:ggin5fGOo

 キッカケはなんだったっけな。思い出そうとしてもこれってわかりやすいものはなくて、拾ったものを消去法で減らしていくと最後に残ったのは、予定が合わなくなって自然消滅、なんてありきたりなものだった。だんだんと連絡の頻度が減っていって、意味もなく気まずくてこっちから連絡することもできなくなった。そして私はアイドルになって上京したわけで、物理的な距離も遠くなってしまったという。

「そういうところもあったんだな」

以下略 AAS



30: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:12:34.26 ID:ggin5fGOo

「それだけ大切ってことだろ」

 真っ黒なコーヒーを持って帰ってきたプロデューサーの言葉に「大切?」って聞き返して「相手のことを」



31: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:13:38.65 ID:ggin5fGOo

「そりゃそうだよ。高校からの友達って貴重だもん」

「俺も何人いるか」

以下略 AAS



32: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:14:14.05 ID:ggin5fGOo

「え?」

「そういえば、ちょうど一ヶ月後にぽっかり予定空いてたな、一週間くらい」

以下略 AAS



33: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:15:32.61 ID:ggin5fGOo

「それができたら苦労しないってばー!」

「結局は行動しないとどうも変わらないだろ」

以下略 AAS



34: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:16:21.34 ID:ggin5fGOo

「いやでも、すっごい雑じゃない?」

「そんなもんだよ、諦めろ」

以下略 AAS



35: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:17:17.11 ID:ggin5fGOo

 しばらくそんなことを繰り返していたら、机の上に置いてたスマホが突然振動し始めた。長い振動音でこれが電話だっていうことがすぐわかった。ひっくり返すとその画面にはずっと連絡がなかった、ついさっきまで話題に出してた名前が表示されていて、胸の奥の奥が誰かにぎゅって掴まれたような気がした。なんてタイミングだろう。偶然にしてはできすぎ、まるで仕組まれてたみたい、ってそれこそ被害妄想か。プロデューサーはいつの間にかいなくなってて、相変わらず志乃さんは寝たまま、もしかしたら起きてるのかもしれないけど、まぁそれはいいや。

 ええい、ままよ。決心してスマホを持った。

以下略 AAS



36: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:18:12.90 ID:ggin5fGOo

 気持ち間があってから耳に届いたのは、胸をなでおろしたようなゆるいため息と少し湿った声だった。

『よかった。番号、変わってなかったんだ、ね』



37: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:21:25.22 ID:ggin5fGOo

「そっちだって、変わってないじゃん」

 喉奥に熱いものが詰まったみたいな感覚があった。出していいのか、それとも出しちゃダメなのかわからなくて、ごくんと息を飲んだけど、まだそこにあるみたいだった。

以下略 AAS



38: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:21:57.02 ID:ggin5fGOo


「あのさ、パスポート持ってる?」


以下略 AAS



39: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:23:19.79 ID:ggin5fGOo


おわり



40: ◆ksPx5/M7Wg[saga]
2019/05/08(水) 01:28:38.25 ID:ggin5fGOo

並木芽衣子で一番最初に書いたやつ
芽衣子「コール・ミー!」
ex14.vip2ch.com

以下略 AAS



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