一ノ瀬志希「ほころび」
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78:名無しNIPPER[saga]
2019/04/29(月) 00:02:04.48 ID:SYS+AFC90
 ――夕美ちゃんが、知っていた?

 自分が、あの不倫をでっち上げられることを――不当に追い詰められることを?

「ご、ごめんなさい……週刊誌には、わた、私の方から、白状して……!」

 そして、あたしはこのラボにある重大な異変に気づいた。
 言ってることがいまいち要領を得ない彼女の方には目もくれず、あたしはそれに近づく。


 ピンクのキンモクセイが――ラボの中央にあるそれが、満開の花々を咲かせていたのだ。
 よく見ると、鉢も少し大きなものに植え替えられていて、土の色も違う。

 疑いなく、夕美ちゃんが手を加えたのだ。


 しばらくはこのラボに引き籠もってて、なんて冗談で夕美ちゃんには言ってあったけど――。
 まさか、この短期間の世話で、こんな元気に育て上げるなんて――でも。


 あたしは、彼女に向き直った。

「夕美ちゃんはどこ?」
「えっ……」

「何で夕美ちゃんがいないの?」

 あたしは冷蔵庫を開けた。
 500mlの缶ビールが2本置いてある。
 夕美ちゃんがいたのなら、すぐにプロデューサーを叱りつけ、処分するはずのものだ。



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