荒木比奈「貴方が居る、其れだけで浮かぶ」
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7: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2019/04/09(火) 00:37:32.95 ID:Tnjuxph+0
比奈、おかゆ持ってきたよ」

片手でお盆を持って、もう片方の手でドアを開け、寝室に入る。エアコンの熱気にあてられた。スーツの内側から汗が滲む。

寝室にはベッドの他に本棚とフィギュアを飾る棚、それから机があり、机の上には漫画用の原稿用紙と付けペン、インク、それ以外にも僕では分からない漫画製作用の道具が色々と置かれている。デジタルとアナログを使い分けてペン入れまではアナログ、と言っていたのと関係があるのだろう

ブランケットがもぞりと動いた。比奈が顔を覗かせた。眼鏡はかけていなかった

「おかゆ……?」

「おかゆ」

レトルトを温めただけの簡単なやつ。比奈へ器を手渡した。行儀悪いけど、ベッドの上でそのまま食べてもらおう

「……いただきまス」

食欲があるのか気に掛かっていたけれど、スプーンは進んでいる。心配したほどじゃないらしい。

おかゆを食べている間に、次の準備。比奈はかなり汗をかいていたように思える。まだシャワーやお風呂に入ることが出来るほど体力はないだろうけど、清潔さを保つために体を濡れタオルでふくなりさせた方が良いだろう

そう思って、風呂場へ向かった。洗濯物が溜まっていた。ついでに洗濯機へ放り込んで洗っておくことにした

少し熱い位の湯を桶に溜め、それにタオルを浸し、搾る。数回それを繰り返して、いくつか濡れタオルを作った。それと合わせて乾いたタオルも持って、風呂場を離れる

寝室に戻っても、比奈はまだスプーンを動かしていた。おかゆはまだ半分くらい残ってる。

「食べ切れそう?」

「ちょっと……厳しい、かも」

「そっか」

むずむずする。「〜っス」口調じゃない比奈は新鮮だけれど奇妙で慣れない。というか、こっちが素なのかな? 親とかにはこっちの口調で話してるのかも

「無理して全部食べなくていいよ」

「……食べる」

またスプーンが動き出した。僕は比奈が全部食べ終わるまで待った

お盆に食べ終わった食器を乗せ、代わりにと比奈に濡れタオルを渡した。

「食器を洗ってくるから、その間に体を拭いててね」

「……うん」

そう言って離れる。食器を洗い終わって(シンクの水垢も少し掃除して)からまた寝室に戻った。比奈はまだ体をふいてなかった。タオルが絞られたままの形になっている

「比奈?」

「……拭いて」

「え?」

「出来ない、から」


「拭いて」



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