1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 21:32:03.90 ID:pnEHH2ID0
……本当は、プロデューサーのことを好きになんてなりたくはなかったんでス。
好きになんてならずに、ただのプロデューサーとしてだけ見ていたかった。
プロデューサーは違ったから。私の望む、好きになりたいって願う理想像と。
違った。違ったんでス。まったく全然。
プロデューサーは、私の好きになりたい人じゃなかった。
プロデューサーは素敵な人だった。ほんの少し一緒の時間を過ごしただけでも確信できちゃうくらい、本当に素敵な人だった。素敵で……でも、皆にとっても素敵な人だった。
プロデューサーは優しい人だった。こんな私にも手を差し伸べてくれる、柔く微笑みながら私を支え導いてくれる。本当に優しくて……でも、皆に対しても優しい人だった。
プロデューサーは温かい人だった。思いやりに溢れた人だった。心地のいい幸せをくれる人だった。……皆のことを愛し、そして皆から愛される人だった。
プロデューサーは愛に満ちた人だった。
……それは、私の望む理想とは違う。むしろ真逆な姿だったんでス。全然違う。遠い遠い彼方の姿。
私の理想は、私だけの人だったから。
私だけの。私だけを愛してくれる、私だけに愛される、私とだけ居てくれる人。それが私の好きになりたい人だったから。
私は私一人を好きになってくれる人だけを好きになりたかったんでス。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 22:14:07.73 ID:CjH4GEOcO
……だって、怖いじゃないっスか。怖くて嫌で、悔しいじゃないっスか。
好きになった人が他の人にも好きを振り撒くなんて。大好きな人が他の人にも大好きだ、って思われるなんて。愛する人が、自分のもとから離れていってしまうかも、なんて。
そんなの絶対、苦しいじゃないっスか。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 22:16:14.91 ID:CjH4GEOcO
プロデューサーが好きだから。
……。いつか。いつかの前に、プロデューサーは言いました。『好きだ』って。『比奈が好きだ』って言いました。私を、好きだって、言ってくれました。
私以外にも優しくする節操なしの癖に。そんなだから私以外にも好かれちゃう女誑しの癖に。こんなに苦しい思いをさせる甲斐性なしの癖に。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 22:17:08.99 ID:CjH4GEOcO
「…………比奈」
5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 22:18:11.53 ID:CjH4GEOcO
「んーん、んー」
「……うん?」
「ちゅー」
6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 22:19:22.39 ID:CjH4GEOcO
「ちゅー?」
「ちゅーっス」
「ちゅーかぁ」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 22:20:10.51 ID:CjH4GEOcO
「私はペットじゃないっス! 愛玩のちゅーとかぁ……私は、プロデューサーの恋人でっ……」
「ごめんごめん、比奈が可愛くてつい」
「プロデューサーはいけずっス……」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/08(月) 22:21:09.77 ID:CjH4GEOcO
「……んっ……ふ、ぅう……」
「……比奈?」
「……ふふ……えへへ……ちゅーっス。……欲求と、執着の、ちゅー」
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