【シャニマスSS】冬優子「それは」灯織「あったかもしれない邂逅」
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20: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/04/07(日) 17:58:34.98 ID:khuu0cd90
「……プロデューサーは、『本当』を見ていたいんですね」

「そうかもな。ああ、きっとそうだ」

 『実像』に対する『虚像』。『本当』を見ていたいというプロデューサーの言葉は、暗に『虚像』の存在を肯定しているようだった。

 それで、わからなくなってしまう。

「……虚像って、一体何なんでしょうか」

 えらく抽象的な質問になってしまった。プロデューサーは、それに辞書的な意味で答える。

「凹レンズなどで作られる、光を逆向きにたどって見える物の像……だったか?」

 お互いに、とんちんかんなことを言っている気がした。

「その眼鏡もそうだろ。遠くにあるの物体の虚像を結んで、近くにあるように見させるものが眼鏡だ」

「これ、伊達です」

「あ……それもそうか」

 度の入っていない眼鏡は虚像を結べない。結局のところ、私は彼女のいう『虚像』が理解できなかったのかもしれないと、陰鬱な気分になってしまった。

 でも、下ばかり向いてはいられない。上ばかりを向いてもいられない。

「それなら……プロデューサーは、『本当の自分』が好きですか?」

 これが最後の質問だ。彼女を知るための、最後の。



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