1:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:00:28.00 ID:pOwoTKMWo
とある魔術の禁書目録の木原加群の二次創作SSです
より正確には電撃文庫MAGAZINEvol.61 2018年5月号に掲載されている「ガラスの向こうのバースデー」の二次創作のつもりです
ガラスの向こうのバースデーも加群の話ですが言うまでもなくそちらの方が断然面白いのでまずそっちを読んで
ヨドバシとかで電子書籍で買えるから
加群さんめっちゃカッコいいから
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2:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:02:51.25 ID:pOwoTKMWo
学園都市。その街の中の、大勢の学生が行き交うとある大通りに一本の脇道がある。
普通に暮らしている分にはさして通る意味のない、先の道に繋がっているのかも定かではないような薄暗い路地。
人通りも多くなく、まれに好奇心旺盛な学生が気分転換半分でそこを歩き、特に変わったものを見出すこともないままに通り過ぎる程度。
だが、彼らは気付かない。その道の途中、扉一枚隔てた向こうに、何があるのかを。
3:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:10:44.55 ID:pOwoTKMWo
「『どこまで人は人としての価値を保てるか』 探す答えは、そんなところか」
その為に、ここまで生命を切り崩す。歪めてしまう。
価値があると信じているからこそ、その価値を極限まで否定する。
4:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:12:02.44 ID:pOwoTKMWo
「君は、今からその臆病者に教えを受けることになる」
そして、その暗闇――彼女が彼を恐れないのは、知らないからだ。
他者の命を弄ぶ一方で、実感としての死を知らない。死んだことがないから、分からない。
5:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:12:55.99 ID:pOwoTKMWo
そして。
すぐに終わるという言葉の通り、彼は複雑な手順は踏まなかった。
6:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:13:27.51 ID:pOwoTKMWo
『Modelcase_”RAILGUN”』とは言っても、それは電磁誘導によって弾丸を撃ち出す超電磁砲ではない。
超えたのは電圧。10億ボルト以上、自然界の落雷ですら発生し得ない強力な電撃を発射したのだ。
解き放たれた雷は狭い室内で荒れ狂い、空気を焼き尽くして相対する彼女へと殺到する。
もはやその姿は暗闇などではなかった。
7:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:13:58.56 ID:pOwoTKMWo
レベル5をも凌駕する雷撃は人一人の心臓を止めるのに留まらず、室内を破壊した。
天井を埋め尽くす照明の一部も破損し、その機能を失う。
8:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:15:24.72 ID:pOwoTKMWo
無感動に歩みを踏み出す彼の足元に転がる生体部品もまた、その演出の一部か。
彼女の異様なシルエットを形作っていたもの。ただの血と肉と金属で出来た鎧のようなもの。
詳細は不明だが、恐らくはこれらにもそう特別な機能はない。多少は改造されていても、通常の駆動鎧の域を出ないだろう。
血と肉の主たる役割は外見を誇張する為の虚飾だ。自分を暗闇に隠しながらも他者の目を気にする、臆病な心性の一端。
9:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:15:54.08 ID:pOwoTKMWo
恐らくそれは、彼にとっては切り札でも何でもないものだったのだろう。
選択肢の一つとして発想し、開発し、試用した。そして想定通り目的にそぐわないことが確認出来たので破棄。
そこにどれだけの技術力が注ぎ込まれていようが、ただそれだけのことなのだ。
10:名無しNIPPER[sage]
2019/04/03(水) 21:16:22.23 ID:pOwoTKMWo
その死を確認しても、彼の作業は終わらない。
まだ最後の手順が残っている。
「……大丈夫だ。君は間違えたが、まだ戻れる」
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