【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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4: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/03/23(土) 22:49:11.37 ID:cpswsJVq0



『こいつの名前は――――――西住みほ。黒森峰の隊長西住まほの妹にして、去年の敗戦の原因を作った元副隊長よ』



プラウダの隊長であるカチューシャがまるで死刑宣告のように告げたその名前を、梓たちは知らなかった。

そして、『逸見エリカ』という人間が既に亡くなっている事も。

当たり前のことだ、自分たちの目の前にいる人の生死を疑う様な人間はいない。

ましてや、死者の名を騙っているだなんて事を想像しろというほうが無理なのだから。

故に、梓たちは未だにカチューシャの言葉を信じようとはしなかった。

だから、聞かないといけなかった。

何かを知っているのであろう杏に。

杏もそんな梓たちの気持ちを理解しているのだろう、自身の言葉を待っている生徒たちをゆっくりと見渡すと、諦めたような吐息と共に口を開く。


杏「……私たちの知っている逸見ちゃんは、今日まで私たちを導いてくれていた隊長は――――『西住みほ』だよ」


求めていた答えは、けれども最も聞きたくなかった真実となる。

アリクイさんチームの車長であるねこにゃーが呆然と呟く。


ねこにゃー「プラウダの隊長の嘘じゃなかったんだ……」

杏「ごめんね、黙ってて。でも、私が勝手に言う訳にはいかなかったから」


アヒルさんチームの車長である典子が、動揺をぐっとこらえて一歩前に出る。


典子「会長。隊長はなんで、名前を騙っていたんですか」

杏「……私が知ってるのは、本当に上っ面の部分だけだよ。あの子が何を思って、どうしてそうしたのかはきっと理解できないと思う」

典子「それでも。このまま何も知らずにいられるわけないじゃないですか」


本当は叫びたいのだろう。典子の声は低く、震えている。

そしてその気持ちは、ここにいる全員同じだった。


杏「……そうだよね。うん、わかった。話すよ。きっともう、それしか無いんだと思う」



そうして、杏は静かに語り始める。

物語というにはあまりにも断片的で、

事実というのはあまりにも悲劇的な

現実感のない、けれども確かにあった過去を。

常人では理解できない、けれども確かな『結末』として自分たちの前に存在していた『彼女』を。






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