【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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293: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/06/09(日) 00:43:04.61 ID:r9PzCrqV0


殴り掛かろうとしたその拳はまほの目の前で掴み止められた。

短髪の少女は震える拳を更に握りしめて、それを遮った長髪の少女を睨みつける。

けれどもその視線に返事はなく、長髪の少女はまほをじっと見つめている。


「……隊長、いえ西住さん。今のは聞かなかったことにするわ」

まほ「……」


その言葉には返事をせず、まほは席を立つ。

掴む手を振り払って短髪の少女がその背中を声で引き留める。


「おい、どこ行く」

まほ「悪いがおしゃべりはここまでだ。実家に行く用があってな」

「んなもん後にしろ。まだこっちの話が終わってないんだ」

まほ「私は最初からお前たちと話すつもりは無いよ」

「っ……」


ドアノブに手をかけたまま、まほは振り返らず答える。


まほ「安心しろ、ちゃんと優勝させてやるさ」

「……お前は、それでいいと思ってるのか」

「西住さんあなただってわかってるでしょ?このままじゃ……」

まほ「お前たちに、私の何がわかる」


声色が変わる。

深く、重く、怒りと悲しみを混ぜ合わせた色を二人は感じ取った。

まほが振り返る。

二人に近づき、その眼を見つめる。

視線だけで眼球が押しつぶされるかと思うほどの迫力に、二人はたじろいでしまう。

その姿にまほは興味を失ったのか、あるいは怒りを通り越したのか。見下すように冷たい視線を向けて再びドアノブに手をかけ、扉を開く。


まほ「私の気持ちがわかるやつなんてもう、この世にはいないんだ」


その言葉を最後に扉は閉ざさた。

扉の外からコツコツと床を鳴らす音が聞こえ、段々と小さくなっていき―――聞こえなくなった。

主のいなくなった隊長室に、二人は無言でたたずむ。

そして、


「――――――クソッ!!」


閉まった扉を前に一歩も動けず、そんな自分への苛立ちを込めて短髪の少女は机を殴った。





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