【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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◆eltIyP8eDQ
[saga]
2019/06/09(日) 00:43:04.61 ID:r9PzCrqV0
殴り掛かろうとしたその拳はまほの目の前で掴み止められた。
短髪の少女は震える拳を更に握りしめて、それを遮った長髪の少女を睨みつける。
けれどもその視線に返事はなく、長髪の少女はまほをじっと見つめている。
「……隊長、いえ西住さん。今のは聞かなかったことにするわ」
まほ「……」
その言葉には返事をせず、まほは席を立つ。
掴む手を振り払って短髪の少女がその背中を声で引き留める。
「おい、どこ行く」
まほ「悪いがおしゃべりはここまでだ。実家に行く用があってな」
「んなもん後にしろ。まだこっちの話が終わってないんだ」
まほ「私は最初からお前たちと話すつもりは無いよ」
「っ……」
ドアノブに手をかけたまま、まほは振り返らず答える。
まほ「安心しろ、ちゃんと優勝させてやるさ」
「……お前は、それでいいと思ってるのか」
「西住さんあなただってわかってるでしょ?このままじゃ……」
まほ「お前たちに、私の何がわかる」
声色が変わる。
深く、重く、怒りと悲しみを混ぜ合わせた色を二人は感じ取った。
まほが振り返る。
二人に近づき、その眼を見つめる。
視線だけで眼球が押しつぶされるかと思うほどの迫力に、二人はたじろいでしまう。
その姿にまほは興味を失ったのか、あるいは怒りを通り越したのか。見下すように冷たい視線を向けて再びドアノブに手をかけ、扉を開く。
まほ「私の気持ちがわかるやつなんてもう、この世にはいないんだ」
その言葉を最後に扉は閉ざさた。
扉の外からコツコツと床を鳴らす音が聞こえ、段々と小さくなっていき―――聞こえなくなった。
主のいなくなった隊長室に、二人は無言でたたずむ。
そして、
「――――――クソッ!!」
閉まった扉を前に一歩も動けず、そんな自分への苛立ちを込めて短髪の少女は机を殴った。
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