【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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276: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/06/02(日) 00:15:40.37 ID:z9x6Xcan0





そんな二人をM3の整備をサボってあやが見つめていた。

みほの正体が判明したあの日以来みほと杏はいつも重い空気を纏っていて、正直言って辛気臭いとあやは思っていた。

事情は分かったが、だからといってあんな風に陰鬱とした雰囲気は一年生らしい後先考えず目の前の出来事を軽く受け止め大いに楽しんでいるあやには随分と奇異で、近寄りがたく写っていた。

そして、そんな辛気臭い空気を纏った人が身近にいる事もあやの頭痛の種となっている。


埃と煤に汚れたメガネを拭きながら、一心不乱に整備をしている梓に声を掛ける。


あや「梓―いい加減隊長と仲直りすれば?」


その言葉に、梓以外の面々も手を止め、目を合わせて同意する。


優季「そうだよーせっかく頑張ろう!ってなってるのに空気悪くなっちゃうー」

梓「別に、仲直りしなくても試合は出来るから」

桂利奈「あいぃ……」


優季の同調に梓は手を止めず抑揚のない声で拒絶する。

その冷たい声に桂利奈が恐れ慄き口から怯えた声が漏れてしまう。


あゆみ「まぁ梓だって好きでツンケンしてるんじゃないからさ。今はそっとしておこうよ」


これ以上突っ込んでもケンカになるだけだと判断したあゆみが、そう言って皆を宥めるも、

あやは納得いかないといった様子で唇を尖らせ、ため息をつく。


あや「はぁ……あんなに先輩!先輩!って懐いてたのに」

梓「私が好きだったのはエリカ先輩だから。あの人は違う」


若干嫌味を込めた言葉も梓には響かなかったようで、ただただ冷たい拒絶だけが帰ってくる。

もちろん、あやも梓の気持ちは分かっている。

なんだかんだ今日まで6人でつるんできた仲で、彼女が逸見エリカという先輩にどれだけ入れ込んでいたのかも近くで見てきたのだから。

その気持ちが裏切られたと思うのも当然で、簡単には仲直りなんてできないだろうというのもあやには分かっているが――――だからと言ってそのせいで自分に被害が出るのは御免被りたいというのが本音だ。


あや「梓ー……」

紗希「……」


不満を露わに梓の名前を呼ぶと、その肩をポンポンと紗希が叩く。

振り向くと、ゆっくりとその首を横に振りあやに意見する。

それでもう、あやはお手上げとなった。


あや「……わかった。もう言わないってば」


あやとしては心残りではあるものの、今ある友情にヒビをいれてまで解決したい問題ではないのだ。

まぁ、時間が解決してくれるよね。

そう、後回しにしてあやは綺麗に拭き終わったメガネを装着し、再び整備へと挑んだ。




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