【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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◆eltIyP8eDQ
[saga]
2019/06/02(日) 00:04:08.76 ID:z9x6Xcan0
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決勝が二日後と迫ったある日の昼下がり、いつも戦車たちが出番を待つばかりで静かな車庫の中は騒々しい賑わいを見せていた。
全チームが各々の車輛の整備、清掃に奔走して、来るべき決勝へと備えている。
優花里「マークWスペシャル!それにヘッツァーも!!良いですねぇ!!」
そんな賑やかな車庫の中でも一際大きな優花里の歓声が響き渡った。
優花里の目の前には砲身の換装とシュルツェンを増設したW号戦車と、『元』38tが並んでいた。
38tはその車体上部を丸々交換し、元々の戦車然としたシルエットから四角錐台に砲塔が生えているといったような見た目へと変貌を遂げ、その名もヘッツァーへと変わっていた。
強化された二輌をじっと見つめるみほの後ろに杏と柚子と桃がやってくる。
杏「決勝進出が決まって義援金が結構集まってねー。ヘッツァー改造キット買っちゃった」
柚子「その義援金ももうすっからかんだけどね……」
桃「だが、それでも何もしないよりはマシだ。打てる手は全て打っておく、最善を尽くすのが今の私たちに出来る事なのだから」
杏は一歩前に出てみほの隣に並ぶ。
杏「ホントはさ、西住ちゃんに相談するべきだったんだろうけどね。時間が無くてさ、悪いけどこっちで勝手に決めちゃったんだ。ごめんね」
みほ「いえ、これで正解だと思います。戦車が増えても乗員を探している暇はありませんし、なら今ある戦車の強化に努めるべきです」
杏「そっか。なら良かった」
それで、会話が途切れる。
金属が鳴らす音、慌ただしく動く足音、あれこれと話す声。
騒がしい車庫内なのに、二人の間には静寂が流れる。
それが耐えられなかったのか、杏はヘッツァーを見つめながらいつもの様に気の抜けた声を出す。
杏「にしてもヘッツァーって面白い形してるねー。実物を見ると猶更そう思うよ。これ上手い事突っ込めばジャンプ台にならない?」
みほ「それはちょっと厳しいかなーって……」
杏「うーん、残念」
しかしながら杏の小ネタではみほとの間に会話のラリーを繋げられず、また黙り込んでしまう。
いい加減どうにかするべきだろうかと柚子と桃が心配になってきた辺りで、また杏が声を出す。
今度は、真面目に、静かに。
杏「……色々あったけどさ、それでもここまでこれたのは西住ちゃんのおかげだよ」
みほ「……それでも、私のしたことが許される訳じゃありません」
杏「……それも、私のせいだから」
みほ「違います。私がやったことは、全部私のせいなんです。あなたの思惑は私がみんなを騙した事とはなんの関係もありません」
先ほどとは真逆に、間を置かず即座に返球されたことに杏は内心で苦笑する。
杏「……西住ちゃんは頑固なんだね」
みほ「……」
その言葉に、みほは返答しなかった。
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