【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
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186: ◆eltIyP8eDQ[saga]
2019/05/13(月) 00:27:19.27 ID:bVfjB2rg0


「桃ちゃん、私が変な気を起こしたと思ったの?」

桃「だって、だって……」


慌てている人を見ると冷静になるというが、胸の中で泣きじゃくる桃の姿を見てみほはようやく自分のした事に気づく。


ずっと嘘をついていた人間がその嘘を暴かれ、狼狽した姿を見せた挙句にどこかに消えた。

……勘違いするのも当然だろう。

そんな事すら気づけなかった自分はやっぱり、自分の事しか見ていないのだなと、みほは内心自嘲する。

けれども今、桃に聞きたい事があった。

桃の肩を掴んでいた手を腰に回し、顎を肩に乗せる。

耳元で囁くように、問いかける。


「桃ちゃん、私が死んだら悲しい?」

桃「当たり前だっ!!」


一瞬の躊躇もなく答えた桃に、みほは嬉しそうに口元を緩め、ぎゅっと、先ほどの桃のように強く抱きしめる。


「……そっか。私、私ね。大切な人を助けられなかったの。大好きな人、私を、救ってくれた人を」


耳元で桃が息をのむ音がした。


「だから私が死ねばよかったんだって。私の人生を、エリカさんに生きてほしかった。だから、私がエリカさんになろうと思ったの」


それが、ついこの間までのみほの行動原理だった。

そうすることでしか、みほは生きる事が出来なかったから。


「でも、そんなことできなかった。見た目を変えても、話し方を変えても、考え方を変えようとしても、どうやってもエリカさんになれなかった」


一人の時、そうじゃない時、何でもない言葉選びに、ちょっとした仕草に、みほは『自分』がいる事を感じてしまった。

あの人ならばこうする。あの人ならこう言う。

結局のところそれはみほの主観でしかなく、水が低いところへと向かってしまうように、自分が演じやすい『逸見エリカ』へと変質していっている事に、みほは気づいていた。


「いつだって、私の前に『私』が現れた。私を、嘲笑ってた。……それは、私の本心だったんだ」




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