速水奏「お父さんあっ」
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7:名無しNIPPER[saga]
2019/03/23(土) 18:40:39.73 ID:WXZGVs7k0

 A永津くんの場合


刻一刻と近付いてくる受験戦争の足音。
親の意向に従う形でこの進学校へ入学した永津くんにとって、逃れようもない兵役と言えました。
稼げる企業に入って一秒でも早く自立したい。
一秒たりとも受験の事など考えたくもない。
形となった憂鬱が彼の両肩を圧迫し、押し出されるような溜息が零れ落ちます。

しかし最近は良い事もありました。
そう。二学期最初の席替えで、奏ちゃんの前の席を手に入れたのです。


奏ちゃんは優しい女の子です。
永津くんが配布物などを奏ちゃんに手渡す際、

 「ありがとう」

などと振り向く度に微笑んでくれる訳ですから、大変です。
うんだとかあぁだとか返すのもおこがましいような気がしてきてしまいます。
なので今の所、永津くんは軽く頷くだけに済ませているのです。


二学期に入ってから、永津くんの成績は僅かに伸び続けています。
授業中に。お昼休みに。誰かの冗談に。
くすりと笑う奏ちゃんの声が聞こえる度に、何故か、真面目に生きようと思えるのでした。


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