8:名無しNIPPER[saga]
2019/03/23(土) 18:53:00.48 ID:WXZGVs7k0
「お父さんあっ」
一瞬、何が起こったのか理解が出来ませんでした。
いつものように資料を手渡し、いつものように微笑まれ。
さぁ今日も頑張るぞとシャープペンシルをくるりと回した矢先の出来事です。
キャッチし損ねたペンが右手から吹っ飛んでいきました。
音を立てて転がっていくペンの行方は、しかし今の彼にとって物凄くどうでもいい事です。
今、速水さんが先生をお父さんって呼んだ気がする。いや呼んでた。
何故、急にそんな事が起こってしまったのか。
考え始めてすぐに、永津くんは思い当たってしまいました。
先ほど奏ちゃんへ回した資料の束。
一つ足りないけど、まぁ、後ろで調整してくれるだろう。
そう軽く流して、それよりも奏ちゃんの笑顔を目に焼き付けようとしていた事に。
繰り返すようですが、奏ちゃんは優しい女の子です。
きっと、彼女の所で枚数を調整しようとしてくれたのでしょう。
とすると、この事態は、俺が引き起こした……のか?
永津くんの表情から血の気が失せていきます。
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