94: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:29:39.53 ID:9oCgBQ/Po
「眠りなよ」
と智子が言う。
95: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:30:22.11 ID:9oCgBQ/Po
笑美莉は嬉しくて、苦しくなる。
智子に優しくされると、笑美莉は苦しくなる。
96: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:31:00.56 ID:9oCgBQ/Po
いったいいつからだろう。
あんなに気持ち悪くて不快だったのに、不快ではなくなって、気がかりで、今度は私の方がどんどん気持ち悪く、不快になっていった。
97: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:32:03.19 ID:9oCgBQ/Po
ゆっくりと、笑美莉は両目を開く。
そして、
98: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:33:04.40 ID:9oCgBQ/Po
嬉しくて、苦しくなる。
笑美莉にとって、その平静さは、好きがまだ大きくなりすぎていないことの証明だった。
99: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:34:16.62 ID:9oCgBQ/Po
「もう全てを終わりにしよう」
と笑美莉は言った。
100: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:34:53.45 ID:9oCgBQ/Po
結局覚悟なんか決まりきらないまま。
智子は何も言わなかった。
101: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:35:35.47 ID:9oCgBQ/Po
笑美莉は、胸が張り裂けるような苦しみを感じた。
全部、嘘だと言いたかった。
102: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:36:16.43 ID:9oCgBQ/Po
不意に笑美莉は、尖塔の天辺から飛び降りたような非現実的な浮遊感に襲《おそ》われた。
このまま死んでしまうかもしれない。
103: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:37:12.45 ID:9oCgBQ/Po
やがて智子が、眉間の皺が跡形もなく消え去った普段通りの顔で、
「バカなこと言ってないで、早く風邪を治しなよ。
体調悪いから、変なこと言っちゃうのはしょうがないけどさ」
104: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:37:47.13 ID:9oCgBQ/Po
「だからそんな顔しないで」
智子はそう続ける。
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