91: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:27:32.29 ID:9oCgBQ/Po
「まだ帰らないで」
自分の冷たさに、凍えてしまいそうだった。
92: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:28:12.11 ID:9oCgBQ/Po
智子の両手が、布団からはみ出した笑美莉の片手を捕まえた。
優しく手のひらを包み込んだ。
93: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:28:51.90 ID:9oCgBQ/Po
愛が、自分の中の悪い気持ちを抑えてはくれないことを。
自分の意思ではコントロールできない苦しみよりも、自分が、大切な苦しみを忘れてしまうよりも、その恐れは大きかった。
94: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:29:39.53 ID:9oCgBQ/Po
「眠りなよ」
と智子が言う。
95: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:30:22.11 ID:9oCgBQ/Po
笑美莉は嬉しくて、苦しくなる。
智子に優しくされると、笑美莉は苦しくなる。
96: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:31:00.56 ID:9oCgBQ/Po
いったいいつからだろう。
あんなに気持ち悪くて不快だったのに、不快ではなくなって、気がかりで、今度は私の方がどんどん気持ち悪く、不快になっていった。
97: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:32:03.19 ID:9oCgBQ/Po
ゆっくりと、笑美莉は両目を開く。
そして、
98: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:33:04.40 ID:9oCgBQ/Po
嬉しくて、苦しくなる。
笑美莉にとって、その平静さは、好きがまだ大きくなりすぎていないことの証明だった。
99: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:34:16.62 ID:9oCgBQ/Po
「もう全てを終わりにしよう」
と笑美莉は言った。
100: ◆2DegdJBwqI[saga]
2019/04/15(月) 13:34:53.45 ID:9oCgBQ/Po
結局覚悟なんか決まりきらないまま。
智子は何も言わなかった。
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