44:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:43:11.62 ID:xzpENjoO0
紺之介「一度魂を解放した幼刀は二度と刀には戻らんのか?」
愛栗子「ん〜、それはあり得ぬ。幼刀の所有権は柄を握るものに常々移り変わるのじゃが……露離魂を持たぬ者が柄を握れば刀のままじゃ」
愛栗子「あとこれはついでに言っておくが魂を解放された幼刀は好意に所有者を傷つけることが叶わぬ」
45:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:44:04.57 ID:xzpENjoO0
歩きながら愛栗子の下から上を順に眺める。
紺之介「……柄とはどこだ」
46:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:45:22.73 ID:xzpENjoO0
紺之介「所有権を持つ露離魂が任意で刀に魂を閉じ込める方法はないのか?」
その方法さえ分かれば視線を避けられ、愛栗子の駄々からも逃れ、美しき刀を腰に携えて歩く優越感に浸れる。紺之介からすれば良いことづくめであったがここでこの男しくじってしまう。
47:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:46:16.75 ID:xzpENjoO0
愛栗子「……むぅ」
紺之介「なんだ。知っているなら早く教えろ」
愛栗子「教えぬ」
48:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:47:47.17 ID:xzpENjoO0
愛栗子「にしても刀好きの変人とは……ぬしと一緒ではないか。類は友を呼ぶとはよー言ったもんじゃのぅ」
首が前を向いた時にはもう話題すらすり替えられており紺之介自身も今揺さぶりをかけても無意味と見てひとまず納刀を諦めた。
紺之介「案外そいつが乱怒攻流を持っていたりな。もしそいつが筋金入りの刀収蔵人ならば同じ街にて幼刀の噂が広まっているのにいてもたってもいられまいよ」
49:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:49:58.38 ID:xzpENjoO0
愛栗子「わからんのぅ……わらわは簪に封じられた方がまだよかったわ」
手を横に首を振る愛栗子の態度が紺之介の刀狂心に若干の火をつけたが、語っても分からぬであろう愛栗子には分かりやすく簡潔に伝えた。
紺之介「漢の刀は女子にとっての簪と同じということだ」
50:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:51:27.09 ID:xzpENjoO0
「あの〜、そこの方……」
紺之介「ん、なんだ」
「失礼ですがそれはもしや……愛栗子た……幼刀愛栗子-ありす-の鞘では……」
51:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:53:51.52 ID:xzpENjoO0
紺之介「この街にあると噂の幼刀の情報だ。愛栗子の鞘に一目見ただけで気がついた辺り、全く何も知らない……ということはなさそうだな」
紺之介が刀の柄から手を離し要件を伝えると庄司と名乗った男は先ほどの穏やかさを何処かに潜め目の色を変えて背を向けた。
紺之介は見逃さなかった。その際彼が一瞬だけ愛栗子にその目のまま目配せしたことを。
52:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:55:46.07 ID:xzpENjoO0
と、かなりの警戒心を持って庄司の家へと上がり込んだ紺之介であったがその引き締まった緊張感は彼の家に飾られた数多の刀を前に雲のように霧散した。
特に広座敷の掛け軸前に飾られた木刀は彼の瞳に童の光を与えた。
紺之介「これは名刀『星砕-ほしくだき-』!? 金剛樹という樹齢1万年の大木から作られた妖刀・星砕の由来を持ち、真剣を上回る強度や硬度を誇りそれを捜し求めて刀狩りを行う者までいたとされている伝説の一振り……!」
53:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:57:37.76 ID:xzpENjoO0
紺之介「ふむ……俺ほどではないが、中々の刀蔵だな」
庄司「ほう? それほどまでとは某も貴方の収蔵刀に興味がありますな」
紺之介「俺も見せたいのは山々だが何しろそれらは今都にて留守番を任せていてだな……なんなら時間はかかるが俺の家までくるか?」
54:名無しNIPPER[saga]
2019/03/10(日) 22:58:38.18 ID:xzpENjoO0
愛栗子「紺、しばしわらわは花を摘んでまいる。そこの……庄司と言ったか? 口頭でよい、場所を教えてくれ」
庄司「あ、はい。そこの廊下を行って突き当たりの右です」
愛栗子「礼を言う。ではの〜」
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