梨子ちゃんとマルの平穏な日々
1- 20
102: ◆QjbAJuMwBnbV[sage saga]
2019/05/24(金) 23:46:00.59 ID:VWLtwUnE0
16



幽かな振動を感じながら
縦置きのプラスチックケースが並べられたような足場を見る

背後には見知らぬ人
先を行く連れ合いは、その足場に運ばれて離れていってしまう

四辺が警告の黄線で縁どられた、切れ込みを入れられたアスファルトの様なその足場は
踏み出す意思を弄ぶかのように一定の速度で斜め上へと流れていく…


マルはエスカレーターに乗るのが苦手です

あの縦線が怖い
あそこに練った小麦の生地を投げ入れたら太麺ができそうで怖い

足場に乗ろうとするとススーッと速くなってひっくりこけてしまいそうで怖い

最初の足を置いた途端に加速されたら股割きのような格好になって
スカートが引き込まれてマルも呑み込まれて切り刻まれそうで怖い

ハイヒールを履いて乗ってる人を見かけると
あの溝にヒールの部分が刺さって抜けなくならないか心配で怖い

後ろに人がいると、もたついて迷惑をかけてしまうのが怖い


だからいつも、エスカレーターに乗る前には心構えをしてるんだけど
今日は寸前まで、一緒にお買い物に来た梨子さんとのお喋りに夢中で油断をした


梨子「それでね…あれ?花丸ちゃん?」


遠ざかっていく梨子さんが、マルがそばにいないことに気付いて首を振る


梨子「花丸ちゃんどうしたの?具合悪いの?」


エスカレーターの前で立ち止まってるマルを見つけた梨子さんは
心配そうにそう言うと、一瞬マルの方に降りて来ようとするけど
逆走するわけにもいかず困った表情でさらに遠のいていく



流石東京っ子
エスカレーターも簡単に乗り降り…あ、降りるタイミングずれてこけそうになってる


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
202Res/176.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice