りあむ「信じても、いいですか」
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1: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:38:43.05 ID:aP5KLD6H0

「待ってっ!!そこ……そこのスーツのひとっ!!」

「おねがいっ!!ぼ、ぼぼ……ぼくを。あ、アイドルにしてっ!!」


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2:名無しNIPPER[sage]
2019/02/27(水) 22:39:17.19 ID:aP5KLD6H0
待ち合わせは、1年前のここだった。

仕事中に突然舞台裏から現れたヘンな女の子。
今考えれば頭おかしいよね。
スタッフでも何でもない子が関係者席に突然入ってくるなんて。
以下略 AAS



3: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:40:11.46 ID:aP5KLD6H0
今思えば無茶苦茶だよ。
けどPサマはそんな僕の話を聞いてくれたよね。
たった一言、「本気なのか?」って。まっすぐぼくをみて言ってたよね。
めっちゃ嬉しかった。こんなぼくの話をきいてくれるなんて。
「神様って人間だったんだ……」なんて、名刺を眺めながら何度も思ったよ。
以下略 AAS



4: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:40:41.56 ID:aP5KLD6H0

まあでも、そこからだよ。
ぼくの悪夢が始まったのは。



5: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:41:18.31 ID:aP5KLD6H0
まずレッスンがきつい。めっちゃきつい。
家で1日10時間PCにかじりついてたぼくには、準備体操すら重労働。
ストレッチで息が上がってるのを見たときは、Pサマも頭抱えてたな?
……なに、その顔。気付いてなかったと思ってんの?
あのね、学校すらいけないやみちゃんは周りの視線だけには敏感なんだぞう!?
以下略 AAS



6: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:42:24.89 ID:aP5KLD6H0

そうそう。最初のころ、アイドル舐めてたよね。ぼく。
今だから言えるけど、ぼくアイドルって楽なもんって思ってたよ。
可愛い服着てオタクどもに色目使って。あざとい声とチラリもあれば完璧。
そうすればみんなぼくのことすこるでしょ?
以下略 AAS



7: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:43:05.75 ID:aP5KLD6H0
まあでも。最大の誤算はPサマだったよね。
頭おかしいぼくの話を聞いてくれた人はやっぱ頭おかしかった。
もう何度抜け出して何度連れ戻されたことか。
いきなり投げつけられた石ころみたいなもんなんだから、ぼくのことなんかほっとけばいいのに。
でもこの人、って何があってもぼくを連れ戻すの。
以下略 AAS



8: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:43:46.42 ID:aP5KLD6H0
ある時は少しでも行くのを遅らせるために学校に残った。
けど先生にもう事情が説明されてた。Pサマ外堀埋めるの早すぎない?

終いには逆方向の電車に飛び乗って、降りたこともない駅に降りてみた。
家にも学校にも行先は言ってないし、この場所を知ってる人はいない。ぼくだってわかんないし。
以下略 AAS



9: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:44:36.20 ID:aP5KLD6H0
そんなヘンなPサマもちゃんとプロデューサーだった。
尊敬しちゃったよ。だって色んなアイドルにつながってるんだもん!
生衣装にステージの詳細なセトリ、販売されてない写真や映像。
なんとそれらが資料という名目で見放題!たまんねーな?
練習中の生アイドルなんて日常風景だし、舞台裏まで見放題。
以下略 AAS



10: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:45:02.17 ID:aP5KLD6H0
事務所に行ってはPサマとお話して、アイドルの子たちを拝んで。
それでレッスンで打ちのめされて、Pサマに連れられて帰っていく。
研修生時代はそんな毎日。
まだ『アイドル』じゃなかったけど、そんな毎日がぼくにはたまらなかった。
みんなぼくのことかまってくれるし。案外悪くない?なんて思ってた。
以下略 AAS



11: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:45:29.31 ID:aP5KLD6H0
レッスンルームには目もくらむようなイケメンがいて、
雑誌やテレビでにしかいないようなカワイイ子がいて、
いつもはステージにいるアイドルたちが目の前にいて、
そんな人たちがビビっちゃうほどおっかない顔してレッスンしてた。

以下略 AAS



12: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:46:06.27 ID:aP5KLD6H0
ぼくを見る目は次第に変わっていった。
期待から困惑、困惑から呆れ、呆れから哀れみ。
いつの間にかぼくの耳には、聞きなれた声しか聞こえなくなってた。
これまでとはぜんぜん違う世界にいるはずなのに。

以下略 AAS



13: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:46:51.17 ID:aP5KLD6H0
なのにPサマは、いつもぼくのことを見てたよね。

失敗すれば「大丈夫だ、次はできる」そうぼくを励ましてた。
もたもたしてれば「落ち着いて、少しずつやればいい」そうぼくを落ち着かせた。
たまにできれば「よくできたぞ、頑張ったな!」そうぼくを褒めてくれた。
以下略 AAS



14: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:47:42.54 ID:aP5KLD6H0
そうしてその日がやってくる。
オーディション。ぼくの、初めてのステージ。
その日のことはよく覚えてるよ。
ぼくの手を握ってPサマ大喜びだったよね。

以下略 AAS



15: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:48:36.65 ID:aP5KLD6H0
みんなの前に立つ。みんなの視線に晒される。
今のぼくには恐怖でしかない。
失敗したらどうしよう。出来なかったらどうしよう。
嫌われたらどうしよう。いられなくなったらどうしよう。

以下略 AAS



16: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:49:16.41 ID:aP5KLD6H0
オーディションまでは時間がない。当然これまで以上に熱も入る。
やらなきゃ合格できない。合格しなきゃアイドルにはなれない。
そう考えると、身体が全然動かなくなった。
出来たはずのことが出来なくなって、いつもの時間に起きれなくなって、
Pサマの言葉も遠くに聞こえるようになって、周りの視線に敏感になった。
以下略 AAS



17: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:49:47.86 ID:aP5KLD6H0

辛い。しんどい。なんでぼくがこんな目に。
もういい。もういいや。もういやだ。
こんな目にあうのはたくさんだ!

以下略 AAS



18: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:50:25.45 ID:aP5KLD6H0
これでもうイヤな思いは終わり。
疲れないし、しんどくないし、人の目にやむこともない。
散々迷惑かけて裏切ったんだ。普通の人なら見捨てるに決まってる。
……Pサマを裏切ったことだけは、少し心が痛んだけど。
でももう耐えられない。だからぼくは逃げ出したんだ。
以下略 AAS



19: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:51:10.01 ID:aP5KLD6H0
なんで??

なんでこの人は怒らないの?

なんでこの人はぼくを見つけるの?
以下略 AAS



20: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:51:39.78 ID:aP5KLD6H0

ヘンだ。

こいつヘンだ。

以下略 AAS



21: ◆dzX3.Do/lI[sage]
2019/02/27(水) 22:52:14.65 ID:aP5KLD6H0
「迷惑なんて、いつ俺が言ったんだ」

「いうわけないだろ!!!お前はプロデューサーなんだから!!!」

「けど迷惑に決まってる!!関係ない人に頭下げて、遅くまで付き合って、いつもいつも歩き回って!!」
以下略 AAS



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