42: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/16(日) 12:57:47.26 ID:Uf1CGfEh0
「おまえじゃない」
僕は、窓の外の深淵に渾身のパンチをくらわす。
「そうだ! 僕はもう無限の可能性を授かった! 亜人のハーレムこそ気づけてはいないが、最強のヒロインが僕の下にはいるではないか」
僕は、天を仰ぎ神を称える。僕に肩を揺さぶられて目を回していた友人が「もう一度言う前に、悟るなよ……」とため息を漏らした。
自室へと慌てて戻った僕は、床で寝転がっていたシュレディンガーをもちあげクルクルと回った。
「シュレ! 君こそが、神からの授け者だったんだ!」
狂った世界で、僕は偽物の僕だった。だがシュレディンガーはどうだ。猫の姿をもって、「にゃあ」となく至極正常なこの猫は、この異常な世界から見れば最も狂った存在ではないか。
彼こそが、この世界での最たるオカルト。彼が神からの授かりものではないなんてことはありえない。
「僕に、キミのすべてを、無限の可能性をみせてくれ!」
僕は、頭のカセットテープの挿入口をひらき。恭しく、シュレディンガーを招きいれる。猫だけにな!
シュレは「にゃむにゃむ」と眠そうな声をあげながらも僕の中に入ってくれた。大きさ的に、猫がラジカセの中に入るなんてありえない。なんてことはなく、シュレディンガーの体はどんどん小さくなって、すんなりと僕の中に入ってしまう。
「さあ、帰るんだ!僕たちは僕たちの正常な世界に!」
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