41: ◆CItYBDS.l2[saga]
2019/06/16(日) 12:57:20.81 ID:Uf1CGfEh0
「人の部屋を覗くなよ。この破廉恥出歯亀野郎!」
僕が、彼の覗き行為に敵意むき出しに抗議の声をあげると、深淵はすごすごと立ち去って行った。
「そういえば、キミには無限の可能性をさずけたじゃないか」
深淵と僕のやりとりなんか気にもしないで、友人はもぐもぐとピザを味わっていた。
「そんなものは授かってない。なぜなら僕はいまだ亜人ハーレムを築けていないではないか」
「亜人ねえ……亜人って人間の身体に人間の頭がついてるような異形のことだろ。なにがそんなにいいのか私にはわからんね」
おや、なにか妙なことを言っている。僕は、久方ぶりに自分の探偵としての才能を頼ってみる。
亜人が異形であることは、まあわかる。だが人間の体に人間の頭が異形だって? ……そうか、この狂った世界における亜人とは、僕の知る正常な人間のことなのだ。
!?
僕は、亜人という単語から一つの真実にたどり着きつつあった。慌てて、友人を振り返り肩を強く揺さぶる。
「すまんが、もう一度言ってくれ!」
「よっ」
深淵が、再び窓の外に現れていた。
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